卵巣刺激法
卵巣刺激法を正しく理解するために
キーワードその1
「卵巣刺激法は妊娠率を高める重要な治療法」
- 排卵障害の治療法として必須の治療法です。
排卵誘発剤を用いる卵巣刺激法は、排卵障害の治療法としてはもちろん、排卵障害がない場合にも、妊娠率を高めるために大変重要な治療法です。クロミフェン療法、hMG-hCG療法による排卵誘発は、それぞれの作用機序に合致した投与法で効果が倍増します。
キーワードその2
「卵巣刺激法とは排卵を整える治療法」
- 成熟卵子の排卵を準備することができます。
卵巣刺激法とは、排卵誘発剤を使って「排卵を整える」治療法です。「排卵を整える」といってもわかりづらいかもしれませんが、ひとつは受精能の高い成熟卵子を作ること、もうひとつは次に述べる排卵時期を一定にすることです。自然な排卵周期では、卵子が未成熟なまま排卵することがあり、タイミング法・人工授精の失敗につながる心配があります。しかし、成熟卵子を準備する卵巣刺激法では、妊娠率が上がるメリットがあります。 - 排卵時期を正確に予測することができます。
卵巣刺激法の場合、排卵時期を一定にする、つまり排卵時期を正しく予測できるメリットがあります。クロミフェン療法では、LHサージはほぼ月経14日でピークに達し、排卵時期を特定できます。また、hMG-hCG療法ではLHの代わりにhCGを投与することで排卵時期が決まります。このように、排卵時期を見逃さずにタイミング法や人工授精ができるので、妊娠率の上昇につながります。
キーワードその3
「卵巣刺激法は黄体機能不全の治療でもある」
- 排卵後の黄体機能の維持につながります。
排卵後、卵巣の中には黄体が形成されます。黄体形成後の働きを黄体機能といい、受精卵が子宮内膜に着床しやすい状態にする重要な役目を担います。このため、排卵後の黄体機能不全は不妊原因のひとつになりますが、卵巣刺激法によって卵子が十分に成熟すると排卵後の黄体機能も維持されます。
キーワードその4
「一般不妊治療で使われる排卵誘発剤は…」
- 一般不妊治療ではクロミフェン療法またはhMG-hCG療法を行います。
卵巣刺激法にはいろいろな方法がありますが、一般不妊治療では通常、クロミフェン療法、またはhMG-hCG療法です。
- クロミフェン療法
クロミフェンは内服薬です。通常、月経5日目から5日間、1日量50~150㎎のクロミフェンを飲みます。クロミフェンの投与量には個人差があり、その方の年齢、卵巣機能、排卵状態などで加減します。クロミフェン療法では自然周期よりも卵胞が多く育つ傾向があります。しかし、排卵される卵子は平均2個なので、多胎妊娠のリスクはあまり高くありません。 - hMG-hCG療法
hMG、hCGともに注射剤です。hMGは下垂体から分泌されるゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)と同じ作用をもち、直接卵巣を刺激して卵胞を発育させます。hCGはLH(黄体形成ホルモン)と同じ作用をもっています。hMG-hCG療法では、hMGの作用で卵胞が十分に発育したところでhCGを投与し、排卵を起こします。
クロミフェンとhMGの作用機序
クロミフェンの作用機序
●クロミフェン(内服薬)はホルモン剤ではありません。脳に「もう卵胞刺激ホルモンを出さなくていい」という指令が届くのを邪魔します。つまり、排卵を抑えるホルモンの働きを抑えて排卵を促します。
hMGの作用機序
●hMG(注射)はゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)と同じ作用をもつホルモン剤で、卵胞刺激ホルモン量を直接増加させ、卵胞発育を促します。hCGと併用します。
クロミフェン療法・hMG-hCG療法のメリットとデメリット
内服薬のクロミフェンは毎日通院しなくてよい便利さがあります。注射のhMG-hCG療法は通院治療が必要です。また、hMG-hCG療法には卵巣過剰刺激症候群、過剰排卵の心配があるため、慎重な投与が必要です。
一般不妊治療における排卵モニタリングと卵巣刺激法
排卵誘発剤を用いない場合や、クロミフェン療法を行いつつ性生活による自然妊娠を期待したり、人工授精を行う場合には、通常、超音波検査で卵胞の大きさを計測るとともに、尿中のLHを測定します。
hMG-hCG療法で卵巣刺激法を行う場合には、超音波検査で卵胞の大きさを計測するとともに、血液中のE₂(エストラジオール)を測定しながら、hCGの投与時期を決めます。
卵巣刺激法は受精方法によっても変わります
卵巣を刺激して卵胞の発育を成熟させる排卵誘発剤には、いろいろあり、排卵障害の原因や程度の他、どんな受精方法で妊娠へもっていくかによっても異なります。
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※卵巣刺激のための注射は日曜日・祝日も行います。
※予約制ではありません。直接受付してください。